夜の空にある美しい天の川には、天の神様がいます。神様には、とても美しい織姫という名の娘がおりました。織姫は、機織りの名人でした。織姫の織った布は、とても見事なものでした。働き者の織姫は、神様の言いつけを守り、毎日熱心に機織りに精を出していました。そんな彼女の姿を見て、神様は彼女にふさわしいお婿さんを連れてくることにしました。それが、牛飼いの彦星でした。二人は一目で恋に落ち、とても幸せな結婚生活を送り始めました。二人は仕事などそっちのけで、お互いに夢中になりました。幸せな二人を、初めは微笑ましく見ていた神様でしたが、しばらくするとそんな神様のもとに、「織姫が布を織らないために、着物が足りない」「彦星が世話をしないから、牛が弱ってしまった」という、天の住人の苦情が届くようになりました。神様は二人に注意をしましたが、幸せの絶頂にある二人は聞く耳を持ちません。そんな二人の姿に怒った神様は、織姫と彦星を離れ離れにしてしまいました。二人の間には天の川が流れ、お互いの声を聞くことも、姿を見ることさえもできなくなってしまいました。二人は仕事をしなかったことを後悔し、また一生懸命仕事をするようになりました。しかし、織姫も彦星も、お互いのことが恋しくて毎日毎日、涙を流していました。その様子を見ていた天の神様は言いました。「これまでと同じように、二人が仕事を一生懸命するのなら、年に一度、七月七日だけ、会わせてあげよう」二人はとても喜び、七月七日を励みに、仕事に精を出すようになりました。そして二人は、年に一度、七夕の日に天の川を渡って会うことが許されました。今でも二人は、七夕の日を想いながら、一生懸命美しい布を織り、牛の世話をしているのです