神事としての七夕
清らかな乙女が俗世を離れて機を織る日本古来の神事からひも解く七夕
由来は「伝説」と「神事」と「中国の風習」
七夕というと多くの人が思い浮かべるのが、織姫と彦星の伝説です。確かに、この伝説は七夕の核となっています。そして子ども向けのお話として広まり、定着しました。しかし伝説だけでなく、七夕の由来にはほかにもたくさんの説があります。
まず、秋の豊作を祈ったり人々のけがれをはらったりする「棚機」という禊ぎの神事。「棚機」と書いて「たなばた」と読み、現在、七夕が「たなばた」と呼ばれるようになったのは、この神事の読み方を当てたものだと言われています。
「乞巧奠(きっこうてん)」という中国から伝わった風習もあります。これは、織姫を象徴する琴座のベガ
が裁縫仕事の星だと考えられているため、織姫にあやかって機織りや裁縫の上達を願うもの。やがて裁縫以外にも芸事や書道の上達など様々なことを祈るようになりました。
多くの説がある中で、ここで紹介した織姫と彦星の伝説、「棚機」という神事、中国の「乞巧奠」 の3つが合わさったものが「日本の七夕」なのだと考えられています。